高血圧症とは?

高血圧症は、血圧が慢性的に高い状態を指す疾患です。血圧は心臓から送り出される血液が血管壁にかける圧力のことで、通常、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合に高血圧症と診断されます。
大阪市西区 四ツ橋・西大橋・心斎橋にある四ツ橋診療所では、循環器専門医による適切な診断と治療を行い、患者様のQOL(生活の質)を維持しながら、合併症の予防に努めています。
自覚症状がほとんどありません
高血圧症は「サイレントキラー」とも呼ばれ、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、長期間放置すると以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
- 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
- 心筋梗塞
- 心不全
- 腎臓病
- 動脈硬化 など
これらの合併症は生命に関わる可能性があるため、定期的な血圧測定と健康診断が重要です。
高血圧症の種類
本態性高血圧
原因が特定できない高血圧で、全体の90~95%を占めます。遺伝的要因や生活習慣が複合的に関与していると考えられています。そのため、生活習慣病の一種と考えられています。
二次性高血圧症
特定の原因疾患や要因によって引き起こされる高血圧です。主な原因には、腎臓病、内分泌疾患、睡眠時無呼吸症候群、薬剤の影響などがあります。
高血圧症の合併症
脳血管疾患
高血圧症により脳の血管が損傷を受け、脳卒中(脳梗塞、脳出血)のリスクが高まります。脳梗塞は血管が詰まることで、脳出血は血管が破れることで起こります。これらは突然の麻痺や言語障害、意識障害などを引き起こし、重度の後遺症や生命の危険に繋がる可能性があります。
心臓疾患
持続的な高血圧症は心臓に過度の負担をかけ、様々な心疾患を引き起こします。心筋梗塞は冠動脈の狭窄や閉塞により心筋が壊死する深刻な状態です。狭心症は一時的な心筋の虚血状態で、胸痛を特徴とします。また心臓の筋肉が肥大化し、やがて機能が低下する心不全も引き起こされる可能性があります。
腎臓病
高血圧症は腎臓の細い血管を傷つけ、腎機能を徐々に低下させます。これにより、体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなります。進行すると慢性腎臓病となり、最終的には人工透析が必要になる可能性があります。また、腎機能の低下はさらなる血圧上昇を引き起こす悪循環を生み出します。
大動脈疾患
高血圧症は大動脈の壁に持続的な負担をかけ、大動脈瘤(動脈壁が膨らむ状態)や大動脈解離(動脈の層が裂ける状態)のリスクを高めます。特に大動脈解離は突然発症し、激しい痛みと共に生命を脅かす緊急事態となる可能性があります。
眼底出血
高血圧症は網膜の細い血管にもダメージを与えます。これにより網膜症が発症し、網膜の血管が詰まったり、出血したりすることで視力低下や失明のリスクが高まります。また、眼底検査は全身の血管の状態を反映するため、高血圧の重症度を判断する重要な指標にもなります。
高血圧症の診断基準
日本高血圧学会のガイドラインでは、以下の基準で高血圧症と診断されます。ただし、糖尿病や慢性腎臓病などの合併症がある場合は、より厳格な基準が適用されることがあります。
診察室血圧:140/90mmHg以上
診察室血圧は、医療機関で測定する血圧のことです。緊張や環境の変化により、普段より高くなることがある(白衣高血圧)ため、複数回の測定が推奨されています。
家庭血圧:135/85mmHg以上
家庭血圧は、自宅で測定する血圧のことです。日常的な血圧の変動を把握でき、より実際の状態を反映すると考えられています。朝晩の定期的な測定が推奨されます。
高血圧症の治療
食事療法

まず、食事療法は高血圧症治療の基本となります。特に重要なのは減塩で、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。またカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルを十分に摂取し、バランスの良い食事を心がけることも大切です。
運動療法
運動療法も高血圧症の改善に効果的です。有酸素運動、特にウォーキングやジョギングなどが推奨されています。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合、薬物療法が必要となります。降圧薬には様々な種類があり、カルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などがあります。